TOP > 借地、借家、離婚調停など法律についての基礎知識 > 借地や借家トラブルに関する基礎知識 > 定期借家権制度について
		  定期借家権制度は新しい借家契約のスタイルとして、
            1999年に導入された借家契約の一種です(借地借家法38条)。
            
            定期借家契約は従来の借家契約と異なり、更新されることは想定されておりません。
            あらかじめ決まった期間だけの借家契約となります。
            家主にとっては、明け渡し日があらかじめわかるので、
            次の資産運用をどうするか予め計画を練ることができます。
            また逆に当面、どのような運用をすればよいのかの計画が定まらない時、
            とりあえず短期間、賃貸して収入を確保することも可能なのです。
            つまり資産の運用の仕方として、人に賃貸する方法が気軽になったといえるでしょう。
            
            借りる側にとっては、更新がないということで不都合なだけに思えますが、
            もともと期間限定で借りたい人や、一定期間、店舗展開をしたい企業にとっては、
            賃貸物件の供給が増えたことは入居先、出店先などの選択肢が増えたことになります。
            
            このように需要と供給のバランスが合致する機会が多くなり、
            定期借家権は、導入後、数年の間で着実な広がりを見せています。
            
		  定期借家権制度について、更新が予定されていないといいましたが、
            当初の契約期間が経過すれば、直ちに明け渡さなければならないのかというと、
            必ずしもそういうわけではありません。
            期間満了の前、1年前から6ヶ月前までの間に、家主から賃借人に対して、
            契約期間が終了する旨を通知しなければならないことになっています。
            通知がなかった場合、契約は存続していると考えてよいことになります。
            ただし、家主が忘れていただけという場合もあり、その場合は、
            通知が来てから6ヶ月以内に明け渡さなければなりません。
            
            また定期借家権は、公正証書を取り交わす必要があります。
            また、家主としては、当該契約が定期借家契約であることや、
            更新がなく、期間の満了と共に当該建物の賃貸借が終了すること、
            これらを記載した書面を賃借人に交付しておくことが必要です。