管理人様
私は、何も楽観的な返答をせよと言っているわけではありません。ただ、これまで見てまいりました限りでは、「あぁ、あなたはガンです。どうしたってせいぜいもって3ヶ月ですよ。医者が言ってるんだから間違いありません。」という言い方をされた方が多いという印象を受けております。見通しが明るくないならないなりにもう少し言葉を選んでいただけるとあるがたいなと思っているのです。また、「予測の告知」の際に、ただ告知するだけではなく、医療でも検査データを示して説明するようになぜ、そのような予測になるのかという説明は必要だと思いますし、依頼人が納得すようインフォームドコンセントも必要であると思っています。さらに、タイミングというのはズルズル告知を先延ばしにするということではありません。提供すべき情報の提供する順序だと思っていただいたほうがいいかもしれません。
頭ごなしに結果を先取りするのではなく、依頼人に選択の余地を残すことは心理の立場からすればとても重要なことと考えます。選択肢と各選択肢から予測される事態をセットで提示し、専門家としてどの選択肢を推奨するかを伝えつつ最終的な決定権は依頼人に残すということが満足度を高めることにつながるものと考えます。
心理や医療では基本的姿勢とされており、それでも疑念があればセカンドオピニオンを求め他機関に行っていただくという過程がどうもリーガルサーヴィスでは定着していないのではないかと思います。ただ、そこまで弁護士に求められても・・・という方も多いと思い、カウンセラーの関与が必要になると思うのです。但し、そのカウンセラーは基本的な法律学の知識は持ち合わせていることが条件であるというのが私の考え方です。
蛇足ですが、命の期限を告知された患者が治療拒否するケースは少なくありません。そこで台頭してきたのが「緩和ケア」という領域です。ここでは、積極的な治療を行わず、主に痛みや苦痛を軽減するに留め、死を迎えるための心の準備をすることが主軸になります。また、一切の治療を拒否し、一切の医療を受けない選択をする方も少なくはなく、必ず告知をしたから治療するということはありません。積極的な治療を受けるのか、消極的な医療(緩和ケア)に留めるのか、一切の医療を拒否するのかの選択肢を本人の意思決定に委ねるわけです。
犯罪被害者が民事訴訟を起こしても加害者に民事上の責任を負う資力がないことも少なくありません。しかし、多くの方が「無理です」の一言で済まされているのです。彼らはなぜ無理なのかが知りたい、100%でなく期待の10%でもいいから90%を納得するための言葉と時間が欲しいと思っているのです。依頼人の多くは法律知識がありません。ですから、結果が出るまでにどのような書類や手続が必要なのか、その際の心理的、物理的、経済的負担はどのくらいになるのかなどを最初に提示していただくだけでも満足度は高まると思います。また、その場で手続を進めるかどうかの返答を求めずに考える時間を差し上げてください。勿論、期限のあることについてはその期限と、なぜ期限が設けられているのかの説明は必要だと思います。まだまだ言葉が足りないとは思いますが、少しでもご理解いただければ幸いです。
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