親権における共同親権と単独親権@


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親権における共同親権と単独親権@

離婚調停で親権争い

婚姻中は共同親権、離婚後は単独親権

法律用語で、親権には単独親権と呼ばれる場合と共同親権と呼ばれる場合とがあります。単独親権というのは、この母親または父親のいずれか一方のみが親権者として親権を行使する場合を指し、共同親権というのは、父親も母親も共に親権者として親権を行使する場合を指します。
結婚しているときは父母共に共同で親権を行使していますが、離婚すると父母のどちらかが単独親権者となります。
共同親権とはいっても、子供に関することを全て父母で共同して決定したり、共同名義で実行したりする必要はありません。
ただもちろん、父母でよくよく子供に関することについても話し合い、同じ方針で臨まなければ夫婦仲が険悪になってしまうことは避けられないことはいうまでもありません。

また、婚姻中の父母が血の繋がった子供の親権を共同して行うだけでなく、実親と養親、養親同士が共同親権を行使することもあります。
父母のどちらかが一度、前の配偶者と離婚して子の単独親権者となった後に再婚して子供と再婚相手が養子縁組をした場合や、子供のいない夫婦が、子供を迎えて養子縁組をした場合などです。
養親であっても実親と共同して親権を行使する場合は、対等な関係にあり、どちらか一方の主張が優先されたり、権利義務に差がつけられたりすることはありません。

海外では共同親権が主流

海外では共同親権が主流

ところで海外の多くは両親が離婚した後であっても共同親権を採用しています。
離婚後も、子供の親権を父と母の両方が持つことになり、共同して親権を行使することになります。
ドイツでは当初、単独親権を採用していましたが1997年の親子法改正法で共同親権が立法化されました。
申し立てをしない限り、離婚後も共同親権になります。
子供にDVをしている場合は、親としての適格性を欠くとして単独親権が認められています。
共同親権のメリットは、それぞれの親と子供が交流を持ち、養育の義務を両方が持つことです。
しかし、デメリットもあります。
例えば、対等に親権を行使すべきという趣旨を徹底して貫けば、子供が隔週ごとに父、母の家に行き来しなければならないというようなことにもなりかねません。
子供は父母どちらにも会いたいと思うものですが、安定した生活基盤の中で生育できなかったり、子供を巡って争う父母の姿を常に目にしてしたりしてしまう虞もあります。
離婚後も子供のためを思って、共同親権を行使できれば問題ありませんが意見が合わずに争いばかりをしていると、子供にとってはとても辛く感じます。
最近では、日本の離婚後の親子関係の実態を憂う立場から、夫婦が離婚した後であっても、ドイツなどのように共同親権を認めるべきだとの考えが有力になってきました。
しかしいいことばかりではなく、却ってほかならぬ子供にも余計な負担をかけることにもなりかねませんので、日本人の家族観や結婚観、離婚観になじむものであるのか、更に慎重な議論が必要です。